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セミナーレポート

2026/06/17

人が集まり、辞めにくくなる会社の共通点 ~働く場所の選択肢と、新しい採用の考え方~

「人が集まり、辞めにくくなる会社を目指したい。ただ、何から検討すべきか分からない。」、そんな声も多く聞かれます。

働き方や採用を見直す際、最初の一歩として考えやすいのが「働く場所」の選択肢です。

本セミナーでは、世の中の変化を踏まえながら、検討を始める際の整理軸や考え方を、日経が運営するワークスペースプラットフォーム「NIKKEI OFFICE PASS」の事業責任者 小島と、起業支援とママの柔軟なはたらき方を共存させるサービス「AnyMama」を運営する株式会社アンダースタンドCOOの河田氏が登壇。

人材不足・定着難という共通課題に対し、それぞれの立場から実践的な知見が共有される内容となりました。

働く場所の柔軟性は「前提条件」へ

小島氏

コロナ禍以降、個人の価値観やキャリア意識は大きく変化した。働き方や働く場所の選択は企業主導ではなく、個人が主体的に判断するものへと移行している。

この変化により、企業は従業員に選ばれる立場となった。柔軟な働き方の提供はもはや「競争優位」ではなく、企業として備えるべき前提条件となっている。

実際に、日本企業の半数以上が「柔軟な働き方を提供できなかったことによる人材流出」を経験しているというデータもある。


「なぜ出社するのか」を定義できるか

ー では、働く場所の柔軟性をどのように設計すべきか。

小島氏

鍵となるのは「Why(なぜ)」の明確化。

出社回帰の動きがある中でも、「なぜ出社するのか」を企業として定義できていないケースは多い。制度だけ整備しても、目的が曖昧であれば形骸化し、実際に使われない仕組みになってしまう。

重要なのは以下の整理である。

  • 何のために出社するのか

  • どの業務はどこで行うべきか

  • 社員が安心して選択できる基準は何か

例えば、創造的な議論はオフィスで行い、個人作業は自宅やサードプレイスでも良いといった「基準」を明確にすることで、社員は自律的に働く場所を選べるようになる。

さらに、評価においても「出社していること」を基準にしない設計が求められる。


働く場所は「ポートフォリオ」で考える

小島氏

企業は単一の働き方に依存するのではなく、複数の選択肢を組み合わせた「働き方のポートフォリオ」を設計する必要がある。

  • 本社オフィス

  • 自宅

  • シェアオフィス(サードプレイス)

これらを業務内容に応じて使い分けることで、柔軟性と生産性の両立が可能になる。

その際、重要となるのは以下の観点だ。

  • 網羅性(誰でも使えるか)

  • 公平性(不公平感がないか)

  • 多様性(用途に応じて選べるか)

  • 拡張性(拠点や人数の変化に対応できるか)

  • コスト管理(持続的に運用できるか)

導入にあたっては、まずトライアルで運用し、課題を洗い出した上で制度化することが成功のポイントとなる。


採用に頼らない組織づくりの視点

河田氏

「採用だけに頼らない人材戦略」が重要となる。

エニママの取り組みを通じて見えてきたのは、実は「働きたいのに働き続けられなかった人材」が非常に多いという事実だ。

企業と個人の間には以下のミスマッチが存在する。

  • 従業員は本来、仕事を続けたかった

  • 企業も辞めてほしいわけではない

  • しかし結果として離職が起きる

この構造を解決するためには、採用強化だけでなく、組織内部の業務設計とマネジメントの見直しが不可欠である。


崩れない組織の共通点は「任せ方」にある

河田氏

業務が止まりにくい組織の共通点の鍵となるのは「業務の分解」と「任せ方」だ。

多くの組織では、責任感の強い人材に仕事が集中し、以下のような状態が生まれる。

  • 業務の属人化

  • 担当者しか内容がわからない

  • 代替が効かない

短期的には効率的でも、長期的には組織リスクを高める。

これを防ぐために必要なのが、川田氏の言う「関わりしろ」と「逃げしろ」である。


「関わりしろ」と「逃げしろ」を設計する

河田氏

  • 関わりしろ
     他の人が関われる余地を業務に組み込むこと

  • 逃げしろ
     繁忙時やイレギュラー時に、業務を分散・代替できる仕組み

例えば、1人の担当者が担っている業務を分解することで、

  • 社内の別メンバー

  • 副業人材

  • 外部チーム

  • 短時間人材

など複数のリソースへの再配分が可能になる。

この「選択肢の存在」が社員の安心感にもつながる。


本音は組織内では出てこない

河田氏

本音は社内では出にくい。

従業員にとって上司は利害関係のある存在であり、「本音で話そう」と言われても心理的に難しい。

そのため、

  • 社外の視点を取り入れる

  • 外部パートナーと対話する

といった仕組みが、課題の可視化に有効となる。


人が辞めない組織づくりの第一歩

最後に、両氏が示した実践的な第一歩は以下の通り。

河田氏(社外アプローチ)

  • 自社と似た課題を持つ企業の知見を持つ外部パートナーと対話する

  • 業界特有の「詰まりパターン」を理解する

小島氏(社内アプローチ)

  • 現状の働き方、業務の実態をフラットに把握する

  • メンバーの志向や負荷状況を丁寧に確認する

特に重要なのは、「無理をしない」だけでなく、「本人が挑戦したい無理なのか」を見極めることである。


まとめ

本セミナーを通じて浮かび上がったのは、次の3点である。

  1. 働く場所の柔軟性は必須条件になっている

  2. 重要なのは制度ではなく「なぜ」の設計

  3. 採用ではなく、業務とマネジメントの再設計が鍵

人材不足の時代において、企業が問われているのは「人を増やす力」ではなく、「人が力を発揮し続けられる環境をつくる力」である。

    よくある質問

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