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日本経済新聞社 人財・教育事業ユニット主催、株式会社ルネサンス共催の本ウェビナーでは、「健康経営」と「従業員体験」をテーマに、人材が定着し活躍する組織のあり方について議論が行われました。
登壇したのは、株式会社ルネサンス 執行役員の樋口氏と、社会保険労務士の岩田氏です。
ー まずは、なぜ人が辞めるのかという点について、健康経営の視点からお話しいただけますか。
樋口氏
はい。結論から言うと、企業の魅力をどうつくるかという話になります。よく「なぜ働くか」と聞くと、多くの人は「お金」と答えます。でも、辞める理由は違うんですね。
ー 確かに、待遇だけで会社を選んでいる印象はあります。
樋口氏
そうですね。ただ、辞める理由として多いのは、人間関係や働きにくさ、納得感の欠如といったものです。
つまり、
働く理由は「条件」、辞める理由は「体験」というギャップがある。
ここを企業が理解しているかどうかが重要です。
樋口氏
私はよく企業にこう問いかけます。「あなたは自社を家族や友人に勧めたいですか?」と。

ー かなり本質的な問いですね。
樋口氏
ある企業では、100人中3人しか手を挙げなかった。これはかなり厳しい状態です。
逆に、多くの社員が手を挙げる会社は、“人が資本になっている会社”と言えると思います。
ー 改めて、健康経営とはどういうものなのでしょうか。
樋口氏
簡単に言えば、
経営の中に健康を組み込むことです。

例えば「タバコは体に悪い」というのは一般論ですが、健康経営では「なぜ自社では禁止するのか」を経営として考える。
つまり、会社ごとに100通りの健康経営があるわけです。

樋口氏
いま変わってきているのは、労働の質が健康の質に依存するという点です。
睡眠不足によるミス
不調による判断力低下
メンタル不調によるパフォーマンス低下
こうしたものが、企業の品質や安全に直結する。
ー つまり健康は福利厚生ではなく、経営課題ですね。
樋口氏
その通りです。

ー 岩田さん、現場ではどのように離職が起きているのでしょうか。
岩田氏
人は突然辞めるわけではなく、小さな違和感の積み重ねで辞めます。
ー 例えばどのような?
岩田氏
たとえば、
入社初日に誰もフォローしない
相談先が分からない
上司が忙しくて話せない
給与ミスがある
こうした“小さなズレ”が蓄積して、エネルギーがゼロになると辞める。
岩田氏
面白いのは、企業は顧客体験にはすごく投資するんですよね。
ー 確かに、UI改善やサポート体制などは徹底しますよね。
岩田氏
でも、従業員体験は後回しになる。ここに大きな構造的問題があります。
私は、人事施策は「プロダクト」だと思っています。顧客にするのと同じレベルで、従業員体験を設計すべきです。
岩田氏

人事がやりがちなのは、新しい制度を作ることです。
ユニークな休暇制度
新しい評価制度
でも、それより重要なのは、
従業員が嫌だと思っている体験(ペイン)を取り除くこと
です。
ー 組織を変える主体は誰になるのでしょうか。
岩田氏
全員です。経営、管理職、現場すべて。
制度だけ変えてもダメですし、経営だけ変わってもダメ。最終的には風土の問題になります。
樋口氏
私も同じ考えです。健康経営の観点でも、風土が最も重要です。

樋口氏
ただ難しいのは、離職理由は形式知化されないことです。
ー 確かに、退職理由は表面的なものになりがちですね。
樋口氏
そうなんです。本音は出てこない。
だからこそ、
見えない課題をどう可視化するか
が重要になります。
岩田氏

もう一つ重要なのが、働き方の柔軟性です。
時間や場所に縛られない働き方がある企業は、課題への打ち手が増えます。
これはOSのようなもので、常にアップデートが必要です。

ー 健康経営は今後どう進化していくのでしょうか。
樋口氏
いまは「3.0」の段階に入っています。
1.0:身体・メンタルの健康
2.0:エンゲージメント
3.0:社会的な健康(関係性・働きがい)
岩田氏
かなり広がっていますね。
樋口氏
はい。今後は雇用関係だけでなく、
副業・兼業
フリーランス
高齢者
など、企業に関わるすべての人の健康がテーマになります。
議論を通じて見えてきたのは、次の3点。
離職は「体験の積み重ね」で起こる
健康経営は「働きやすさ」と「働きがい」の設計
組織は制度ではなく「風土」で決まる
そして何より重要なのは、
従業員の小さな違和感に向き合い続けること
となる。
企業にとって人材は「コスト」ではなく「資本」。
その価値を最大化することこそが、これからの経営に求められている。
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